■「歯を一日3回磨くのは時間の無駄!?」
「一日何回磨けばいいんですか?」「どれくらいの時間磨けばいいのですか?」患者さんから必ずと
いっていいほど尋ねられる質問です。よくもそんな長い時間とこちらが思うくらい熱心な患者さん、
も結構いらっしゃいます。こういった患者さんには「歯のお手入れだけが人生ではありませんから、
1日1回しっかりと磨いてください」とアドバイスさせて頂いてます。すると怪訝そうな顔で「1日3回
食後3分以内に3分間磨きなさいと教わりました・・・」
確かにこの「3・3・3」法は、日本人の常識となっているようです。しかし「1日1回」には科学的
な理由と条件があります。
まず、虫歯、歯槽膿漏の原因プラーク(歯垢)についてお話しましょう。「歯垢=食べかす」と思って
いる方も多いようですが、本来は細菌とその排泄物のかたまりです。(第1回でお話した口腔内細菌
です)その排泄物とは非常にねばねばした粘液でしっかりと歯の表面に付着します。それが細菌に
とって防護幕となり、その中で彼らはどんどん増殖していきます。
この防護幕は簡単には破壊されませんし、細菌のエサとなる糖分だけは都合よく入り込める仕組み
になっています。さらに口腔内の湿度や温度は彼らにとって最高の住み心地。防護幕の中はパラダイ
スとなり、ここで彼らはぬくぬくと虫歯、歯槽膿漏という悪だくみをしているわけです。
さてこの細菌の攻略法ですが、このパラダイス(プラーク)をばらばらに破壊して分裂さえすれば
無毒化することが科学的に証明されています。だからこそ、その勢力が拡大して悪さを実行する前
にアジト(プラーク)を分裂させる必要があります。なんかテロ対策みたいですね!
ここで重大なのは、プラークは一度分裂させられると、再度細菌プラークを形成し悪さを始めるまで
24時間かかることが確認されていることです。つまり、虫歯と歯槽膿漏予防は1日1回適切なお手入
れをすれば十分ということになります。「なーんだ一日1回でいいの!」と言われそうですが、ここで
肝要なのは100%近くプラークを分裂させることです。そうでないと分裂されてないところでは問題が
継続して起こることになりますし、せっかくきれいにした所もまた汚染されてしまうことになります。
結論としては1日1回「100%」プラークを分解するというのが、虫歯と歯槽膿漏を予防する条件という
ことになります。つまり1日3回磨く必要も無いし、効率よく100%磨くならどんな短時間でもいいことに
なります。当院では患者さんのお口の清潔度をカウントしていますが、ほとんどの方が初めのころの
30%以下というのが現状です。50%を超える方は滅多にいません。そこでしっかり磨けるようになる
ためには専門家による適切な指導と練習が必要となると考えています。最後に食後に歯を磨くという
のは予防というよりエチケットとして食べカスを取るという意味では大事だと思います。歯垢(プラーク)
と食べカスは全く別物ですから。あなたの歯に真っ黒な海苔がついていたら大きなイメージダウンになってしまいますものね!
神奈川県中小企業経営者協会発行「中経協会報」 健康歳時記より抜粋
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